1920

線画の女の子を描くことをお休みして、さなぎの時間を過ごし

ながら、自分に向き合っています。

そうしているうち、1920年代1930年代のものに惹かれ、

自分の作風もどこか近づいていること、

大正産まれの祖母と祖父母の家の記憶が大きく影響していることに

気がづきました。

祖父母の家は、明治大正の古いものが沢山詰まった、小さな博物館のような

場所で、新築の家にはない先祖代々の物が発する「気」のようなものに

守られた空間でした。

祖母はとてもおしゃれで、目利きでもあり、博物館や美術館で、

物のルーツを想像する楽しみを教えてくれた大恩人です。

こんな夏の暑い盛りに、土粘土で土偶の家を作り、博物館で見た土偶がどんな

特徴を持っていたかを訪ねる祖母に応えようと、一生懸命に住めそうな造りの土の家を考えました。

また別の日には、割れたお皿に野花を盛って活け花にした事を、祖母はとても褒めてくれました。

こじんまりとしていず、見栄を張らないカッコ良いものを

見極める独特の目を養ってもらったように思います。

新旧の間にあって、和洋折衷が絶妙で、工業化の波に争うような手仕事の気迫が細部に宿っている。

それが戦前の物の魅力であり「気」ではないでしょうか。

1920年代はファッションイラストの最盛期とも言われ、

オーダーメイド服が主流でしたでしょうから、

手仕事の洋服を身にまとう人々の感覚や感性、観察眼は、

今よりもっと繊細だったでしょう。

その一端に触れた記憶に手をかけて、

秋冬に向けて、一皮むけることが出来たなら。